【来週の為替相場見通し(2012年1月30日~2月3日)】 来週の為替相場見通し 2012年01月28日 今週もユーロの買い戻しが続いた週となりました。 ユーロはギリシャ債務協議が前週末に難航したことから 週初は安寄りするなど、不安定な動きとなりましたが、 欧州債入札は順調で欧州危機が次第に落ち着いたことや 注目されました米FOMCで超低金利政策を これまでの13年半ばまでから14年後半までへと 延長したことが支援材料となり、ドル安、ユーロ高の動きが強まりました。 また、これまで膠着していたドル円相場ですが、 今週24日に米ウォールストリート・ジャーナル紙が 「日本の輸出大国時代の終わり」とのタイトルで、 「仮に貿易赤字が続けば、日本は安定した債権国から 純債務国に転じる可能性がある」と報じたことを材料に、 円売りの動きが強まり、翌25日に発表になりました2011年の貿易収支が 31年ぶりに赤字に転落したことも相場の支えとなり、 一時昨年11月29日以来の高値となる78.28円まで上昇しましたが、 そのあとはFOMCの結果を受けて円を買い戻す動きが優勢となりました。 週末の米GDP速報値が実質で前期比年率2.8%増と 市場予想平均の3.0%増を下回ったことを受けて リスク回避の円高、ドル安が進む展開となりました。 また、格付け会社フィッチはイタリア、スペイン、ベルギー、キプロス、 スロベニアの格付けを引き下げましたが、 ギリシャと国際金融協会(IIF)の協議が、 決着に向かうとの思惑が強まり、ユーロ売りは長続きせず、買い戻されています。 来週の米経済指標は ・30日、12月個人消費支出、12月PCEコア・デフレータ ・31日、11月ケース・シラー米住宅価格指数、1月シカゴ購買部協会景気指数、 1月消費者信頼感指数 ・ 1日、1月ADP雇用統計、1月ISM製造業景況指数 ・ 2日、新規失業保険申請件数(1月28日までの週) ・ 3日、1月雇用統計、1月ISM非製造業景況指数(総合)、12月製造業受注指数 が予定されており、この中で1月ISM製造業景況指数、 1月ISM非製造業景況指数、1月雇用統計が注目指標となります。 またFOMCが物価上昇率として年2%が「長期的なゴール」に なるとの認識を示し、事実上のインフレ目標を設定したあとだけに、 その数値を表わす30日のPCEコア・デフレータにも注目したいところです。 こちらの事前予想は前回と変わらず前年比+1.7%となっていますが、 強い数字となった場合にはFOMCで2012年あるいは 2013年の利上げ見通しを持つ6人のメンバーの考えを ある意味では正当化されることになりますので、 その場合にはドル高に振れやすいと考えられます。 このほか、来週は30日のEU首脳会議や イタリア、フランス、ドイツの国債入札などにも注目が集まります。 EU首脳会議につきましては これは3月のEUサミットで財政統合の法案合意を目指す中での 中継点と考えられますので、特に大きな進展は無いと思われますが、 ただ、フランスが国家主権を重視する立場を変えずに、 ドイツが主張する監視権限に反対を続けるようなら、 3月の調印が危ぶまれ、ユーロ売りのリスクとなるため、 注意はしておきたいところです。 また、NY市場終了後、ギリシャのパパデモス首相は、 注目されています同国の債務減免をめぐる民間債権者との協議は 数日中にもまとまる見通しで、EUおよび国際通貨基金(IMF)との 第2次支援に関する協議は来週半ばにも完了するとの見方を示していますが、 引き続き結論が未だ出てない状況で、この辺の決着についても注意が必要です。 市場は先々週あたりから、格付け会社の格下げのみならず、 各種指標やイベントの弱材料にやや鈍感になってきているように、 これまでの過度の悲観相場から脱してきている状況ですが、 来週もこのリバウンド相場の流れが続くのか、 もしくは再び戻り売り相場へと移行してしまうのか、 引き続きユーロ圏の信用不安が市場の焦点となりそうですが、 来週は米雇用統計を睨んで、欧米の経済格差にも注目が集まりそうです。 PR
【来週の為替相場見通し(2012年1月23日~1月27日)】 来週の為替相場見通し 2012年01月21日 今週はS&Pによるフランスを含む欧州各国の格下げが先週末に発表され、 週明けはユーロ売りが優勢で開始したものの、 その後はリバウンドの動きとなり、これまでのユーロ売りが一服しました。 ギリシャ債務交換協議が継続しており、不透明感は残されている状況でしたが、 一連の欧州債入札が順調だったことで市場の欧州懸念が和らぎました。 また、「IMFが融資枠拡大を検討」との観測報道もユーロ相場を支え、 ユーロ円は97円近辺から一時100円台を回復、 ユーロドルは1.26台から1.29台へと反発しました。 市場ではユーロ売りポジションが蓄積していたことから、 ショートカバーを誘ったとの見方も。 ドル円は76円台後半での膠着が続いていましたが、 週末にかけては77円台に乗せる動きとなっています。 今週の米経済指標はおおむね改善傾向を示しており、 米企業決算も好調な結果が多かったことから、 NY株式市場は続伸し、昨年7月の水準まで上昇しました。 また、17日に発表されました中国GDPはやや鈍化傾向がみられましたが、 市場予想は上回っていたことで、来週の春節(旧正月)を控え、 中国株の下げは一服しており、全般にリスク選好ムードが優勢な週となりました。 尚、ギリシャ債務協議は20日も合意持越しとなり、 民間債権者との債務交換協議は21日も続くようです。 来週の米経済指標は 24日、1月リッチモンド連銀製造業指数 ※オバマ米大統領一般教書演説 25日、12月中古住宅販売成約 ※FOMC政策金利発表 26日、12月米耐久財受注、米新規失業保険申請件数、 12月米景気先行指数、12月米新築住宅販売件数、 12月シカゴ連銀全米活動指数 27日、第4四半期実質GDP・速報値、10月ミシガン大学消費者信頼感指数 が予定されています。 他で、欧州では30日のEUサミットを前に欧州財務相会合(23-24日)が開催され、 重要イベントが目白押しとなるため、経済指標やイベントには要注意です。 まず、現状のユーロの戻しは本物なのかと言う意味でも、 まずは週明けから開催される欧州財務相会合が注目となってきますが、 こちらは財政統合に関する議論に注目が集まっています。 また、9日の独仏首脳会談で3月のサミットでの調印予定が発表されましたが、 内容の落ち着きどころを巡る独仏の発言に注目です。 フランスの歩み寄りが見えれば、ユーロ買い、 意見の不一致が見えれば、ユーロ売りの反応となりそうです。 そして、来週の最大の注目は25日の米FOMCとなりそうです。 まず、一部投票権を有する連銀総裁が入れ替わり、 昨年よりはややハト派と言われる今年のボードメンバーではありますが、 ただ、直近の米経済指標が良好ということもあり、 緩和姿勢を強める理由も後退している為、政策金利の変更自体は 今回の会合では難しく、スタンスに変化は無いものと見られています。 そして特に注目されますのが、今回から、 「FOMCメンバーの政策金利の見通し軌道が公表」されることです。 これはFOMCメンバーがゼロ金利解除時期を2012~2016年までの間で、 いつ利上げがあるかを見込む人数を棒グラフにし、 また、引き締めペースを2012~2014年までの年末時点と、 長期でみたFF金利の誘導目標水準の推移を折れ線グラフで公表するとのことで、 会見に引き続き、市場との対話というバーナンキ革命の第2弾として、注目されます。 ここで、改めて利上げ時期の遠さが確認されると、ドル安が再燃する可能性があり、 反対にメンバー間で見方が分かれていると、ドル一段高を招く可能性を秘めています。 また、最近の指標改善が一過性のものか、持続的な成長軌道入りの 前兆かという景気判断もドルの行方を左右すると考えられます。 この他にも注目イベントが予定されていますが、先週の流れを引き続き、 リスク選好の動き、ユーロのリバウンドとなるのか、 それともポジション調整が一巡し、改めてユーロ売りや 円買いが再開されるのか、来週は注目の週となりそうです。
【来週の為替相場見通し(2012年1月16日~1月20日)】 来週の為替相場見通し 2012年01月14日 今週はユーロ主導で神経質に振れる展開となりました。 週末金曜日に格付け会社S&Pによるユーロ圏諸国の格下げ観測が飛び出し、 ユーロドルは 2010年8月以来、ユーロ円は2000年12月以来の水準まで下落しました。 S&Pからの公表は日本時間午前6時半ごろとなりましたが、 公表前から各国の格下げの程度が関係者から伝わっており、 結果もそのままとなった為、公表後に大きく相場が動くことはありませんでした。 尚、格下げは仏を含む9カ国となりました。解りやすい図表がありましたので、 下記URLをご参考にして下さい。(参考:YOMIURI ONLINE) URL:http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20120114-00000133-yom-bus_all.view-000 今週はその他も全般的に欧州関連のニュースが中心になりましたが、 その中で注目されましたのが欧州債入札と ECB理事会でした。 スペインなど重債務国の国債入札の行方が懸念されていましたが、 おおむね好調だったことで市場に安堵感をもたらし、 7%台に高止まりしていたイタリア10年債利回りも6%台半ばへと低下しました。 また、ECB理事会では事前予想通り政策金利が据え置かれ、 ドラギ総裁会見でもそれほど悲観的なコメントはみられなかったことで、 12日(木)のユーロ相場ではリバウンドの動きが続き、 週初の97円台前半から98円台後半まで上昇する場面もありましたが、 ただ、週末引けにかけては前述のS&Pの格下げの影響で、安値引けとなりました。 ドル円はユーロ中心の取引が目立ち、方向感が乏しく、 76円台後半で膠着した取引が続きました。 来週の米経済指標は 17日、1月NY連銀製造業景気指数、 18日、MBA住宅ローン申請指数、12月卸売物価指数(PPI)、11月対米証券投資 12月設備稼働率・鉱工業生産、1月NAHB住宅市場指数 19日、1月消費者物価指数(CPI)、12月住宅着工・建設許可件数、1月フィラデルフィア連銀製造業景気指数 20日、12月中古住宅販売件数 が予定されており、今週の発表されました小売売上高が予想を下回るなど、 先週ほどの強い指標は発表されなかったこともあり、 NY連銀製造業景気指数、フィラデルフィア連銀製造業景気指数、 また、回復ペースの緩慢な住宅指標に注目が集まりますが、 既に米経済指標に対する反応は薄く、 来週も引き続き欧州信用不安に左右される動きとなりそうです。 引き続きユーロには ・他の格付け機関による格下げ ・ギリシャ政府と民間金融機関の債務再編交渉の不透明感 ・1~3月の国債と金融債の大量償還 ・ECBによる利下げ観測、欧州の景気後退 などのリスクがあり、先安見通しは消えていませんが、 一方で13日は格下げ騒動でも米国株、欧州株の下げ幅も限られており、 以前から格下げは言われてきたことでもあり、ある程度の織り込みはあったように思います。 ※昨年8月の米国債格下げの時、NYダウは634ドル安のパニックモードでした。 ですので、来週は根強いユーロ安とそれに対する市場の抵抗力の高まりを受けた リバウンドをにらんだ展開となりそうです。 そういった中で来週の注目は欧州での国債入札と首脳会談、 (仏スペイン首脳会談(16日)、独仏伊首脳会合(20日) G20財務相代理会合などがポイントとなりそうです。国債入札の日程は 16日仏短期国債入札 17日スペイン短期国債入札、ギリシャ短期国債入札、ハンガリー短期国債入札 18日ハンガリー短期国債入札、独2年国債入札 19日スペイン長期国債入札、英国国債入札、ハンガリー短・長期国債入札 20日英国短期国債入札 が予定されており、S&Pの格下げを受けて、欧州国債の利回りの推移は、 引き続き相場の波乱要因と考えられますので、注意してみていきたいところです。 また、週末にギリシャの債務交換協議は休止し、 合意に向けた楽観論が後退しているとの報道があり、 18日には協議が再開する公算が大きいとしていますが、 場合によってはユーロ圏で初のソブリン債デフォルトが発生する 可能性もあるとも言われていますので、こちらも来週の火種と考えられます。
【来週の為替相場見通し(2012年1月9日~1月13日)】 来週の為替相場見通し 2012年01月07日 今週は昨年末からのムードを引き継ぎ、ユーロ売りが先行しました。 伊銀行最大手のウニクレディトの新たな増資発表が 欧州債務問題の解決は難航するとの思惑を台頭させ、 またスペインが抱える債務問題を背景とした 欧州金融安定基金(EFSF)およびIMFへ支援要請を 検討しているとの報道が材料視され、欧州債務問題への警戒感から、 ユーロ売りが強まりました。 ユーロドルは4日に1.29ドルラインを割り込み、 5~6日には立て続けに2010年9月の安値を割り込む動きとなり、 また、ユーロ円は週末に一時97円台に下落し、 11年ぶりの安値水準を更新しました。 一方、米経済指標は昨年末から好調な結果が相次いでおり、 ユーロ圏との対比から、ユーロ売りドル買い圧力となっています。 週末の米雇用統計は予想外に強い内容となったものの、 事前に上振れが織り込まれていたことや、 年末商戦向けの臨時雇用の影響が大きく、持続性に不透明感があること、 また、欧州懸念が重石となっており、市場は慎重な反応を見せ、 年明けの世界の株式市場の第一週目は全般にさえない動きとなりました。 来週の米経済指標で注目されるのは 11日、米地区連銀報告(ベージュブック) 12日、米新規失業保険申請件数、12月米小売売上高、 13日、11月米貿易収支、1月ミシガン大・消費者態度指数・速報値 などがありますが、 この中ではベージュブックと米小売売上高の注目度が高く、 最近の指標改善は一過性のものか、持続的なものか。 早期の追加緩和は実施されるのか、当面は現状維持が続くのか。 今後のドルを大きく左右すると考えられ、 景気判断や政策スタンスが注目されます。 改善傾向が示されると、ドルにとって追い風になりそうです。 そして、問題となっているユーロでは重要イベントが相次ぎ、 独仏首脳会談(9日)、独伊首脳会談(11日)、ECB理事会(12日)に加えて、 スペイン(12日)、イタリア(13日)の国債入札が予定されており、 来週は失望によるユーロ続落のオーバーシュートと、 いったんのユーロ安の自律反発をにらんだ神経質な展開が考えられます。 9日の独仏首脳会談欧州では、30日にEU首脳会合が予定されており、 それに先立って、独仏両首脳が前回12月に決定した EUの財政規律に関する新規則についてが中心的な議題と思われますが、 11日は独伊首脳会談が行われることから、 現在市場の話題となっている伊銀行最大手のウニクレディトをはじめ、 欧州金融機関の抱える問題などについても話し合いが行われるとみられます。 また、2月、3月に控える、イタリア、ギリシャなどの国債の大量償還を前に 資金繰り関連の話も出てくると見られており、 終了後の発言などに注意しておきたいところです。 そして、国債入札はここしばらくは非常に注目度が高くなっている為、 これが不調に終わった場合には特に注意が必要です。 欧州情勢には引き続き注意を払っていきたいと思います。
【来週の為替相場見通し(2011年12月26日~12月30日)】 来週の為替相場見通し 2011年12月24日 今週はクリスマス休暇を控え、全般に取引参加者が減少するなかで、 話題の中心は引き続き欧州債務関連となり、 欧州債動向に市場は神経質に反応することとなりました。 今週はユーロ圏財務相らによる電話会合、 ドラギECB総裁の欧州議会での証言、スペイン債入札、 ECBによる初の3年物資金供給オペなどが実施されましたが、 商品先物取引委員会(CFTC)が発表していたIMMの投機筋の建て玉は 12月13日時点でユーロの売り越しがユーロ導入以来で 最大の水準に拡大していたこともあり、 ショートポジションの積み上がりから積極的に下値を試す動きとはならずに、 ユーロは下げ渋る動きとなりました。 ただ、欧州債やドル調達金利の動向を見る限りは 欧州への懸念は払拭されておらず、 ユーロ相場の戻りは限定的となっています。 来週、米経済指標で注目されるのは 27日、10月ケースシラー米住宅価格指数、12月消費者信頼感指数、 12月リッチモンド連銀製造業指数、 29日、新規失業保険申請件数、12月シカゴ購買部協会景気指数、 11月住宅販売保留指数が発表 がありますが、市場では欧州債務問題の進展に焦点が集まっているため、 これまで同様に米経済指標などに対する為替市場の感応度は 依然として低いと考えられます。 来週前半は欧米市場やアジア各地でもクリスマスの振替え休日となるため、 週前半は大きな動きとはなり難そうですが、 週中から海外勢は年明けを睨んだ新年のポジション組成に 例年動きはじめる事から、相場が大きく動く可能性もありそうです。 特に週末にはまとまったフローが出てくると考えられますが、 今年に関しては欧州域内の銀行を中心に まとまったドル需要が強まる可能性が強いとの見方も多く、 そうなった場合はユーロ売り、ドル買いの再開となりそうです。 その様な中で注目していますのが、29日のイタリア国債入札です。 週末のイタリア10年債利回りは警戒水準である 7%を上回っているような状態でありますが、 この背景としては先日行われたECB3年物資金供給オペの後、 資金がイタリア債に入らないとの思惑から悲観され、 利回りが急上昇しています。 つまり、この29日のイタリア国債入札で、 ECBが500以上の域内銀行に供給したおよそ50兆円の資金が、 イタリア債の購入に使われるのかどうかという部分が 焦点になってくるかと思います。 もし、この入札が不調に終わるようなら、 そもそも供給オペ事態が大失敗に終わったということになる為、 年末ながらもユーロは大きく売られる可能性も考えられます。 (ユーロ安、ドル高) このような背景から来週のマーケットを見た場合に、 比較的安定して推移するのが良好な経済指標の発表も続いている 堅調なドルではないかと見ております。