【来週の為替相場見通し(2011年12月12日~12月16日)】 未選択 2011年12月10日 今週はECB理事会やEU首脳会議など欧州関連のイベントに関心が集まりました。 週前半はS&Pがドイツを始めとした欧州のAAA6ヵ国を含む、 ユーロ圏17ヵ国の格付け見通しをネガティブにするとの観測報道で 売りが強まる場面がありましたが、ECB理事会やEU首脳会議など イベントに対する期待感から下押す動きも限定的となり、 全般的には一進一退の動きとなりました。 そして、注目されました8日のECB理事会では 政策金利が事前予想通り0.25%引き下げされて1.00%となり、 これまでの過去最低水準(4月の利上げ前の水準)へと戻されました。 また資金供給オペの3年間への期間延長や 融資担保の緩和なども発表され、市場はユーロ買いの反応となりましたが、 しかし、市場で期待されていたECBによる国債購入拡大は ドラギ総裁から否定されたことで、リスク回避の動きとなりました。 また、週末にかけてのEU首脳会議にも期待と不安が交錯しました。 協議の中でEU条約改正がEU27カ国では実施されず、 ユーロ圏17カ国と参加表明国に限定されると報じられたことで、 9日東京タイム午後にはリスク回避の動きが強まりましたが、 格付け会社フィッチが、欧州金融安定化基金(EFSF)保証付き短期証券に 最高級格付けとなる「F1+」を付与すると発表したことで、 ユーロの買い戻しの支援材料となり、NY市場では 米国のミシガン大学消費者信頼感指数が改善したこともあり、 リスク回避の後退が欧州通貨高、資源国通貨高、ドル全面安を招き、 クロス円では円安、ドル円ではやや円高が進みました。 今週は相場為替全般に11月28日の週の取引レンジ内での取引に限定されており、 材料が多かった割には明確なトレンドはでませんでした。 来週、米経済指標で注目されるのは 13日、11月小売売上高 15日、12月ニューヨーク連銀製造業景気指数、新規失業保険申請件数、 12月フィラデルフィア連銀製造業景気指数、 16日、11月消費者物価指数(CPI) などがあります。 また13日には、注目のFOMCが開催され、終了後に政策金利が発表されますが、 最近の米国指標の改善を受けて、QE3(追加金融緩和)の時期が 後ズレしてくるようだと、ドルの下支え要因となりそうです。 他では米財務省が12日に3年債320億ドル、13日に10年債210億ドル、 14日に30年債130億ドル規模の国債入札を実施します。 12~15日の米国債入札が安全逃避の一服によって入札が低調となれば 米国債金利の上昇となり、ドルのサポート要因になりやすいと考えられます。 そして、来週も欧州でも国債入札が予定されておりこちらにも注目ですが、 これまで同様悪いニュースがでれば、 リスク回避による欧州通貨安、資源通貨安、ドル高、 逆に政策対応の進展などの好材料がでれば、 リスク選好による欧州通貨高、資源通貨高、ドル安の反応となりそうです。 尚、先週の主要6中央銀行による協調ドル資金供給拡充策や ECBが銀行の資金繰り支援策を拡充したため、 やや流動性危機のリスクは後退しつつありますが、 ユーロ圏の金融機関の資金調達の問題は根が深く、 日米欧の主要中央銀行によるドル資金供給の強化策が発表されるまでは まだ不安定な相場が続きそうに思います。 ここ2週間ほどはもみ合い(レンジ)の動きが続きていますので、 来週は方向感がでるか注目していきたいと思います。 PR