【来週の為替相場見通し(2011年11月28日~12月2日)】 来週の為替相場見通し 2011年11月26日 今週も引き続き欧州債務危機がメインテーマとなりました。 週初は米党派委員会による米財政赤字削減協議が決裂するなど、 米国に視線が移動する場面もありましたが、 格付け会社が米格付けを維持すると発表したことで一服感が出て、 再びマーケットの関心は欧州不安に移ることになりました。 週前半はスペイン総選挙で野党が圧勝し、 政権交代が現実のものとなったことや、 ユンケル・ユーログループ議長が、 ギリシャは緊縮策の実行を約束した書面を29日までに提出し、 29日にギリシャ融資第6弾の協議を行うと発言したことで。 ギリシャ問題の進展期待からユーロはやや買われる場面もありましたが、 23日 デクシア救済難航・独10年債入札札割れ 24日 ユーロ共同債、メルケル首相難色 25日 イタリア債入札不調・S&P・ベルギー格下げ これらの不安材料が日替わりメニューのように市場に供給された結果、 ユーロ買いの流れはあっけなく崩れ落ち、売り圧力が継続しました。 特にドイツ国債入札で札割れが発生するという事態が材料視され、 欧州危機の影響が世界経済に大きく影響するとの見方から、 リスク回避ムードが高まり、米欧や新興国など世界的に株式が軟調、 そして日経平均は年初来安値を更新することになりました。 週末のNY市場は感謝祭明けの金曜日でクリスマス商戦がスタートし、 前年より過熱しているのではとの見方もあり期待感が強まったことで、 米株の上昇と伴にユーロや資源国通貨も上昇しましたが、 ギリシャが民間債権保有者に対して想定以上のヘアカットを求めているとの観測や、 S&Pによるベルギーの格下げも売り材料視され、上げを帳消しする動きとなりました。 ドル円に関しては対ユーロでドル買いが強まった影響を受け、 対円でもドル買いが優勢となり、77円台後半へと水準を上げています。 来週、米経済指標で注目されるのは 28日、10月新築住宅販売件数 29日、9月ケース・シラー米住宅価格指数、11月消費者信頼感指数(コンファレンス・ボード) 30日、11月ADP雇用統計、11月シカゴ購買部協会景気指数、米地区連銀経済報告(ベージュブック)、 1日、11月ISM製造業景況指数、 2日、11月雇用統計 などがあり、来週は『米雇用統計(NFP)WEEK』となりますが、 マーケットの焦点は欧州情勢になっていることと、 現在のマーケットに米経済を悲観する動きはあまりなく、 あるとすれば債務問題を背景とした政治的確執によるリスクぐらいかと思われ、 米経済指標に対する反応は大きくないと考えられます。 そういった中で来週はユーロに関するイベントが山積みで、 ユーロ各国の国債入札が行われるほか、28日に米欧首脳会談 29日にユーロ圏財務相会合、30日にEU財務相理事会が予定されています。 注目は29日ユーロ圏財務相会合、30日EU財務相理事会となりそうですが、 改めて独仏の意見対立が続くと、ユーロ安やリスク回避の展開が持続することが考えられ、 反対に12月9日のEU首脳会議に向けて、何らかの危機対応が進展してくると、 短期的なユーロの反発やリスク選好による円全面安になると考えられます。 また他で注目されますのが、 30日に財務相が発表する「外国為替平衡操作の実施状況」です。 これは10月28日~11月28日までの介入合計額が発表される訳ですが、 これによって実施の事実を公表しない覆面介入を 政府・日銀が密かに行っていたかどうかの答えが出される事になり、 その金額次第では様々な憶測が生まれそうです。 ここで31日に実施した大規模介入以降も 噂をされた覆面介入があったとすれば、 財務相の発表というアナウンス効果と、 大規模介入による需給インパクトの両方を狙った これまでの介入の転換にもなるため、すぐに材料視されなくとも、 今後のドル円相場にも影響を与える可能性も考えられます。 31日の大規模介入については およそ7兆~8兆円規模とみられていますが、 介入後、日銀の保有国残高に変化があった為、 11月第1週に1兆円弱の覆面介入があったのでは無いかとの憶測があります。 つまり、30日発表の外国為替平衡操作の数字が ・8兆円前後の場合:覆面介入なしの可能性が高い ・9兆円前後の場合:31日の大規模介入の誤差の範囲か、覆面介入の可能性あり ・10兆円前後の場合:覆面介入ありの可能性が高い と考えられます。 仮に覆面介入があったとすれば、 先日通過した第3次補正予算を経て、35兆円程の介入枠が作られた事で、 今後の介入についてマーケットの憶測が高まりを見せる形になり、 これまで続いていた円高トレンドに変化が出てくる可能性も考えられます。 来週は雇用統計、重要指標が多数が控えている米国(ドル)、 引き続きマーケットの関心がよせられ、注目イベントも控えているユーロ、 そして、31日の大規模介入後の介入実施状況が明らかになる円と 主要通貨に関連するイベント目白押しとなるため、 これまで以上に注意をしていきたいと思います。 PR