【来週の為替相場見通し(2011年12月5日~12月9日)】 来週の為替相場見通し 2011年12月03日 前週のリスク回避ムードが後退し、今週はリスク許容度が上昇して、 ユーロや資源国通貨は買戻しが優勢になりました。 前週はドイツ国債入札が札割れとなり話題となりましたが、 今週は来週のEU首脳会議への期待もあり、 欧州各国の債券入札が順調に消化されて、 流通市場での欧州債券利回り上昇は一服しました。 また、30日に発表されました 『主要6中央銀行による協調ドル資金供給拡充策』が市場で好感され、 各国株式が急伸、為替市場ではユーロ主導でドル売りが殺到するなど、 リスク選好の動きが強まりました。 また中国やタイ、ブラジルも金融緩和に踏み切る動きを見せたことも 市場では好感されました。 そして、一連の米経済指標はセンチメント系指標を中心に 今週も予想を上回る結果が相次ぎ、 週末の米雇用統計でも失業率が改善しましたが、 「失業中の人が職探しをあきらめたことに伴う労働力人口の減少が要因」との 見方が広がるに連れてリスク回避が優勢となり、 やや週末は軟調な展開となりましたが、 それでも米欧株価指数は週初から5~10%程度上昇するなど、 今週はリスク選好ムードが広がりました。 来週、米経済指標で注目されるのは 5日、11月ISM非製造業景況指数、10月製造業新規受注、 8日、米新規失業保険申請件数(12月2日までの週) 9日、10月貿易収支、12月ミシガン大学消費者態度指数速報値 などがありますが、来週の注目は8日の欧州中銀(ECB)理事会、 そして8、9日の二日間にわたって開催されるEU首脳会議となりそうです。 他でも週明け5日に独・仏首脳会談が控えており、 (こちらではEUの新条項への発表が予定されている。) また、6日にはガイドナー財務長官が再び訪欧する予定となっており、 欧州に始まり、欧州に終わる一週間となりそうです。 特に山場は世界が注目している8~9日のEU首脳会談となりそうですが、 サルコジ仏大統領が主張する 「財政規律の強化を盛り込んだ新たなEU条約」 「問題を抱えた加盟国を支える欧州通貨基金の設立」 などが協議される模様で、いかに協調体制を示すことが 出来るかどうかが最大の焦点となりそうです。 財政健全化策を含めた危機対応の強化が進展すると、 マーケットのリスク回避の後退を支援する形となり、 欧州通貨高、資源国通貨高、ドル全面安の展開が考えられますが、 失望する結果となった場合には 欧州通貨安、資源国通貨安、ドル全面高の展開が考えられます。 また、8日のECB理事会では利下げの決定がほぼ確実視されており、 焦点はその利下げ幅となりそうです。 現時点では政策金利を0.25%引き下げ、過去最低水準である 1.00%とすることがほぼ確実視されています。 利下げ自体はほぼ織り込まれている状況だけに、 0.25%の利下げだけではマーケットの反応は鈍いと思われますので、 マーケットが好感するとなれば、利下げ幅を0.25%よりもっと大きい場合、 2年ものの資金供給オペを実施するなど流動性対策を発表する、 もしくは今回で一気に引き下げがなくても、 今後更なる追加利下げの可能が発表された場合かと思われます。 前週の日米欧などの中銀によるドル資金供給や、 最近の米国経済指標の改善、中国の預金準備率引き下げなどを受けて、 株式市場が盛り返すなど、年越えに向けた金融経済危機の不安は後退してきましたが、 来週の一連のイベントによって、状況が一変する可能性はありますので、 特に来週は注意してみていく必要がありそうです。 PR