【来週の為替相場見通し(2011年11月14日~11月18日)】 来週の為替相場見通し 2011年11月12日 今週は先週末にギリシャの国民投票が完全に回避されたことで、 ひとまず欧州情勢に一服感がでるかと思われましたが、 すぐに市場はイタリアに関心が集まりました。 週前半はある程度狭いレンジで上下に推移する動きでしたが、 前週に伊政府がIMFによる財政監視を受け入れると表明するなど、 欧州3位の経済規模を誇るイタリアの財政状況に懸念が広がり、 9日にはイタリア国債が売り圧力にさらされ、10年債利回りが デッドラインである7%を上回る水準まで上昇し、 ユーロドルは混乱を嫌気して1.38台から1.35割れまで、 ユーロ円は一時105円割れまで軟化し、市場全般に売り優勢となりました。 しかし、10日の欧州市場で、イタリアで解散・総選挙の可能性が低下し、 財政再建が停滞するとの懸念が緩和したことや、 上昇していた10年債利回りが7%台を割り込み、 これを好感してユーロは底堅い展開となり、 週末にはイタリアの財政安定化法案が上院を通過。 債務危機回避の焦点となる法案が可決され、 ギリシャではパパデモス新首相が就任式を終え、新政権が発足したことで、 両国の債務問題をめぐり政局の混迷が後退した事により、 リスク選好の動きとなりました。 バーナンキFRB議長の講演もありましたが、 市場の関心は引き続き欧州に向いた一週間となりました。 来週、米経済指標で注目されるのは 15日、10月小売売上高、11月NY連銀製造業景気指数、 16日、10月消費者物価指数(CPI)、10月鉱工業生産 17日、フィラデルフィア連銀景況指数 と、来週は重要度の高い経済指標が控えております。 前週の米国指標は改善が目立っており、 このまま2番底懸念を払拭させる数字が相次ぐと、 当初はリスク選好のドル安を後押ししやすいですが、 潜在的には米国の指標改善は、量的緩和策(QE3)への期待感を後退させ、 指標の強さ次第では、ドル高とリスク選好の円安の展開も考える必要がありそうです。 とは言いましても、市場の関心はギリシャ、イタリアなど欧州情勢に移っており、 特に経済規模の大きいイタリアに財政問題が飛び火していることで、 欧州不安再熱によるユーロ安やリスク回避の円高、 欧州不安一服によるユーロ高やリスク選好のドル安との 一喜一憂の綱引き相場が来週も続くと考えられます。 また、週末に参院予算委員会の答弁で、安住財務相が 『31日の介入については他国の動意が得られなかった』と表明したことや、 APEC財務相会合で「通貨安競争の阻止」や 「為替相場の弾力化」が合意されたことで、 日本の当局の介入が困難になるという思惑が円高材料となっており、 介入警戒感が薄れた来週は円高仕掛けがあるかも注目です。 PR